アパレル副資材とは?服作りに欠かせない資材の基礎知識

アパレル副資材とは

アパレル業界で働く方や、服飾に興味のある方なら「副資材」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。しかし、実際にアパレル副資材が何を指すのか、どのような種類があるのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、アパレル副資材の基本的な知識から、具体的な種類、実際の製品での使用例まで、幅広く解説します。これから服作りを始める方、縫製技術を向上させたい方、副資材の調達を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。

アパレル資材の分類:主資材と副資材

アパレル製品を作る際に使用される資材は、大きく「主資材」と「副資材」の2つに分類されます。

主資材とは

主資材は、衣服の主要部分を構成する生地のことです。具体的には、シャツであれば表地となるコットン生地、ジャケットであればウール生地などが該当します。製品の外観や着心地を決定する、最も重要な素材です。

副資材とは

一方、副資材は主資材以外のすべての資材を指します。「見えない部分で衣服を支える縁の下の力持ち」と表現できるでしょう。副資材は衣服の機能性、耐久性、美観を向上させる重要な役割を担っています。

アパレル副資材の種類と役割

アパレル副資材は非常に多岐にわたります。主要な副資材を分類してご紹介します。

1. ファスニング資材

衣服の開閉に関わる資材です。

  • ボタン: シャツ、ジャケット、コートなどの前開きや袖口に使用
  • ファスナー(ジッパー): パンツ、スカート、ジャケット、バッグなどに使用
  • スナップボタン: ベビー服やカジュアルウェアに多用
  • マジックテープ: スポーツウェアや機能性衣料に使用
  • ホック: インナーウェアやスカートのウエスト部分に使用

2. 芯地・接着芯

衣服の形状を保持し、型崩れを防ぐために使用されます。

  • 接着芯: 襟、袖口、前身頃などに熱で貼り付け、生地にハリやコシを与え、形状を安定させます。
  • 非接着芯(フラシ芯): ジャケットの肩パッドや胸部分、帽子のつばなど、接着せずに使用する芯地です。生地の特性に合わせて、織り芯や編み芯、不織布芯など様々な種類があります。

3. 縫製糸

衣服を縫い合わせるための基本的な資材です。

  • ミシン糸: 一般的な縫製に使用するポリエステル糸や綿糸
  • 刺繍糸: 装飾的な刺繍に使用する色鮮やかな糸
  • ロックミシン糸: 端処理や伸縮性のある縫製に使用

4. テープ・リボン類

装飾や機能性を付加する資材です。

  • バイアステープ: 襟ぐりや袖ぐりの始末に使用
  • パイピングテープ: エッジ部分の装飾と補強
  • ゴムテープ: ウエストや袖口の伸縮性確保
  • リボン: 装飾用や結び紐として使用

5. 裏地・ライニング

着心地や見た目を向上させる内側の生地です。

  • 裏地: スーツやコートの内側に使用
  • 袖裏: ジャケットの袖部分専用の裏地
  • ポケット裏: ポケット内部の補強と滑りを良くする

6. その他の副資材

  • ブランドタグ・織りネーム: ブランド名やロゴが記載され、衣服の襟元や脇などに縫い付けられます。ブランドイメージを伝える重要な役割を持ちます。
  • 品質表示タグ・洗濯表示タグ: 素材の組成や取り扱い方法(洗濯、乾燥、アイロンなど)を示す記号が記載されています。消費者が適切に製品を管理するために不可欠です。
  • サイズタグ: 製品のサイズ(S, M, Lなど)を表示します。
  • 下げ札(タグ): 商品情報や価格、バーコードなどが印刷され、製品に紐などで取り付けられます。店頭での情報提供や販売管理に使われます。
  • 肩パッド: ジャケットやブラウスの肩のラインを整えるために使用されます。
  • ワイヤー: ブラジャーのアンダーバストを支えるなど、特定の形状を保持するために使用されます。
  • レース・トリム: 衣服の装飾として、縁飾りやアクセントに使用されます。
  • アイレット(ハトメ): 靴紐を通す穴や、コードの出口などの補強に使われる金属製の輪です。
  • コード・紐: フード付きウェアの調整紐やドローストリング(絞り紐)など、機能性やデザインのために使用されます。

1着の服に使われる副資材の例

実際に、一般的な長袖シャツ1着にどれだけの副資材が使用されているか見てみましょう。

長袖シャツの場合

  • ボタン: 前立て用7個、袖口用各2個(計4個)、計11個
  • 接着芯: 襟、袖口、前立て、ポケット部分に使用
  • ミシン糸: ポリエステル糸(白、または生地に合わせた色)
  • ブランドネームタグ: 後ろ襟部分に1枚
  • 洗濯表示タグ: 左脇縫い目に1枚
  • サイズタグ: 洗濯表示タグと併記または別途添付

このように、シンプルに見えるシャツ1枚でも、10種類以上の副資材が使用されています。より複雑なデザインのジャケットやコートになると、使用される副資材の種類はさらに増加します。

副資材選択の重要性

適切な副資材の選択は、製品の完成度を大きく左右します。

品質への影響

  • 耐久性: 高品質な副資材は製品全体の耐久性を向上させる
  • 機能性: 適切なファスナーやボタンは使いやすさに直結
  • 外観: 副資材の色や質感は製品の高級感に影響

コストへの影響

副資材は個々の単価は低くても、大量に使用するため、全体のコストに大きく影響します。品質とコストのバランスを考慮した選択が重要です。

ブランドイメージへの影響

高級ブランドでは副資材にも高い品質が求められます。一方、ファストファッションでは低コストでの調達が優先されることが多いです。

副資材調達の注意点

最小ロット

副資材の多くは最小発注数量が設定されています。小規模な生産の場合、在庫管理が課題となることがあります。

色合わせ

生地の色に合わせた副資材の選択が必要です。特にボタンや糸の色は、製品の仕上がりに大きく影響します。

リードタイム

特注品や海外調達の場合、納期に十分な余裕を持って発注する必要があります。

服飾業界のトレンドと副資材

近年の服飾業界では、サステナビリティへの関心が高まっており、副資材にも環境に配慮した素材が求められています。

  • リサイクル素材: 再生ポリエステルを使用したファスナーや糸
  • 天然素材: プラスチックボタンに代わる木製や貝製ボタン
  • 生分解性素材: 環境負荷の少ない新素材の開発

まとめ

アパレル副資材は、服作りにおいて主資材と同じく重要な役割を果たしています。適切な副資材の選択と調達は、製品の品質、コスト、ブランドイメージすべてに影響を与える重要な要素です。

信頼できる副資材の発注先をお探しの方は、ぜひダイリンまでお気軽にお問い合わせください。豊富な経験と知識で、お客様の製品作りをサポートさせていただきます。